中級の壁を乗り越えたい!

いつの日か「私は上級者です」と自己紹介できることを夢みながら、いろんな勉強に手を出している人(=私)のための、お勉強ブログ。仮開館状態での運用中です。

【センター韓国語】2018年度・第1問

第1問

 第1問のAは、例年、発音の変化について問う問題が出題されている。とくに、特定の組み合わせの子音が並び合うことによって発音が変わる「子音の同化」と呼ばれる変化がねらわれやすい(ここでは問2)。例えば「濃音化」「激音化」「口蓋音化」などがそれである。「子音の同化」がねらわれやすいのは、子音の組み合わせの数が多く、変化のしかたも多岐にわたるためだ。
 「子音の同化」のルールについては、教科書や辞書の付録にある発音解説ページなどでの説明をよく読んで理解するのが基本である。しかしそれらの説明は厳密性・網羅性を重視しているので、ぱっと読んだだけでは理解できないかもしれない。そういう場合は、説明とともに例示されている語句を音読して、自分の口の部品の動きを確かめるとよい。唇は開いているかどうか、舌は口のどのあたりに接しているか、のどはどういう状態か、といったポイントを意識しながら音読すれば、何度か繰り返すうちに、「子音の同化」が起こるイメージを自分なりにつかむことができるはずである。そのイメージを応用すれば、「子音の同化」を問う問題の正答率はかなり上がるはずだ。
 また、漢字語(熟語)の中での音変化や、合成語・複合語、文の中での単語の連なりによる音変化(ここでは問1のa、問2のa)にも注意が必要である。こちらは、変化のルールの数が限られているので、重要なルールを覚えて対応するのがよいだろう。

問1

【訳文】今週の日曜日に、(満1歳の)お誕生祝いがあります。

 aは、「이번(今回の)」という単語に「주(週)」という単語が続いている。この場合、慣用的に「주」が濃音化し、「이번쭈」のように発音される。これは「다음(次の)」に「주(週)」が続いた「다음 주(来週)」も同様で、「다음쭈」のように発音される。しかし、「지난(過ぎた)」に「주(週)」が続いた「지난 주(先週)」は、濃音化せず「지난주」のように発音される。このように、「주(週)」については音変化のルールを把握しにくいが、「先週・今週・来週」という表現は会話での使用頻度が高いので、まるごと覚えて対応するべきだろう。
 bは、「돌(周年。돐と表記することもある)」と「잔치(宴会)」という二つの語がくっついた合成語である。たとえば、漢字語の中でㄹパッチムの後にㅈが続く場合(「출장(出張)」→[출짱]のように発音)は、ㅈが濃音化することも多い。しかし、「돌잔치」の場合は濃音化は起こらず、「돌잔치」と発音される。ちなみに「물(水)」と「장난(遊び、いたずら)」がくっついた「물장난(水遊び)」なども同様に、濃音化が起こらない。
 以上のabをともに満たす選択肢は③である。
■1■→③

問2

【訳文】花瓶に花1房が差されていた。

 aは、「꽃(花)」という単語に「한(ひとつの)」という単語が続いている。まず「꽃」を単独で見ると、表記上のパッチムはㅊだが、パッチムがㄷとなった「꼳」のように発音される。この「꼳」と「한」が連なることで激音化が起こり、「꼬탄」のように発音されるのである。ㄷと発音されるパッチムの激音化については、「못하다(できない)」(→[모타다]のように発音)などの例を思い浮かべればよいだろう。
 bは、「꽂히다(差される)」という動詞の語幹「꽂히」に連用形の語尾「어」が付いて「꽂혀」となったものである。「꽂」という部分に注目すると、表記上のパッチムはㅈだが、パッチムがㄷとなった「꼳」のように発音される。この「꼳」と「혀」が連なることで激音化が起こり、「꼬처」のように発音されるのである。
 以上のabをともに満たす選択肢は④である。
■2■→④

 混同しやすい綴りの書き分けを問う問題である。発音をカタカナ表記で暗記していると、母音の「어」と「오」や、「우」と「으」などを混同してしまいやすい。また、平音・激音・濃音の区別や、パッチム(終声子音)の違いなども間違えやすい。この書き分け問題では、これらのポイントが問われやすいので意識しておきたい。

問1

アスファルトで舗装された道路が多くなった。
②きれいに包装してください。
言論の自由は保障されなければならない。
④夕方になれば包装馬車(=屋台)が1つ2つずつ(=ひとつふたつと)街路に出てくる。

 第1問Cで出される漢字の読みの問題とも関連して理解しておくとよいだろう。①は「포장(舗装)」、②④はいずれも「포장(包装)」で、いずれも空欄部分は포となる。③は「보장(保障)」であり、これのみ空欄部分は보である。正解は③。
■3■→③

問2

①健康を害することはしないのがよい。
②霧の中をさしてゆっくり歩いて行った。
③あちこち迷って2時間ぶりに(=2時間かかってようやく)到着した。
④私は泳ぎ方を知らない。

 ②は「헤치다(かきわける)」、③は「헤메다(迷う、さまよう)」、④は「헤엄치다(泳ぐ)」という動詞で、いずれも空欄部分は헤である。①は「해치다(害する)」という動詞で、これのみが空欄部分は해である。発音をカタカナ表記で覚えようとすると、こうした母音の違いに気づきにくい。声を出して発音し、口の動きも含めて覚えるようにするとよい。正解は①。
■4■→①

 漢字の読みを問う問題である。日本語の音読みでは同じ読み方のように思える漢字でも、韓国語では読み方が異なっている場合は少なくない。漢字の読みの問題では、この種の漢字が集中的に出題される傾向にある。よく使われる熟語の中の漢字については、読み方を正確に覚えておきたい。読み方がわからない熟語が出題された場合でもあわてないで、下線部の漢字を含む別の熟語を思い浮かべてみると、解答の糸口が見つかることもあるはずだ。
 なお、すべての漢字についてあてはまるわけではないが、日本語の音読みの歴史的仮名遣いを知っていると、韓国語の漢字の読み方をある程度推測できることがある(とくに日本語の音読みで伸ばす音や「ん」を含む場合)。そこで以下の解説では、参考までに、歴史的仮名遣いによる日本語の音読みも示しておく。

問1

 aは歴史的仮名遣いで「そうりよ」、ハングルでは승려。bは歴史的仮名遣いで「ぞうを」、ハングルでは증오。cは歴史的仮名遣いで「きぞう」、ハングルでは기증。下線部の表記はbとcが同じなので、正解は③。日本語読みの「そう」と「ぞう」の違いが、ハングルの子音の違いに対応しているようである。
■5■→③

問2

 aは歴史的仮名遣いで「かかう」、ハングルでは하강。bは歴史的仮名遣いで「かうふく」、ハングルでは항복。cは歴史的仮名遣いで「かうせつりやう」、ハングルでは강설량。日本語読みでは歴史的仮名遣いも含めてすべて同じである。しかし、ハングルでは〈下に向かう、おりる〉意味の場合は강、〈負けを認めて敵にくだる〉意味の場合は항という読みになる。すなわち、「항복(降伏)」「투항(投降)」などの場合には항という読みになる。下線部の表記はaとcが同じなので、正解は②。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。
■6■→②

問3

 aは歴史的仮名遣いで「せつしよく」、ハングルでは접촉。bは歴史的仮名遣いで「しよぞく」、ハングルでは소속。cは歴史的仮名遣いで「ゐしよく」、ハングルでは위촉。下線部の表記はaとcが同じなので、正解は②。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。
■7■→②

問4

 aは「ゆうかん」という熟語だが、「ゆう」は訓読みである。「夕」の音読みは「せき」なので、aの読み方を歴史的仮名遣いにすると「せきかん」、ハングルでは석간。bは歴史的仮名遣いで「いうりよ」、ハングルでは우려。cは歴史的仮名遣いで「いうれい」、ハングルでは유령。下線部の表記はすべて異なるので、正解は⑤。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。
■8■→⑤

2018年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 여기!
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B C
第4問 全設問
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第6問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5