中級の壁を乗り越えたい!

いつの日か「私は上級者です」と自己紹介できることを夢みながら、いろんな勉強に手を出している人(=私)のための、お勉強ブログ。仮開館状態での運用中です。

単語学習の考え方と学習方法

ことばの学習を進めていく中で、ボキャビル(語彙力増強)は常に大きな課題です。
たしかに、知っている単語が多ければ多いほど、文章を読んだり聞いたりするときの理解度は高まるでしょうし、自分で書いたり話したりするときにも豊かな表現を使えるようになるでしょう。

しかし、ただやみくもに、単語を片っ端から丸暗記しようとしても、苦痛が大きいばかりでなかなか成果は挙がりにくいものです。
できるだけ苦痛を伴わないでボキャビルをしたい……、この記事は、そんな人のためのものです。

1. 単語の学習方法の考え方

1.1. 基本単語とそれ以外の単語は覚え方を変える

繰り返しになりますが、知らない単語を片っ端から丸暗記しようとするのは、非常に大変です。つらいです。やり始めてもすぐに挫折してしまうでしょう。ですから、ただただ無鉄砲に単語を暗記しようとするのではなく、それなりの方針を立てて取りかかっていくのが得策です。

そこでカギとなるのは、出合いやすい単語、使い道の多い単語を優先的に覚えることです。言い換えれば、使用頻度の高い基本単語を優先させた学習、ということです。
なんだよ、当たり前じゃないか。……と思うでしょうか。そうですよね。

でも、改めて考えてみましょう。
よく使う単語を覚えておけば、それ以後、文章を読んだり聞いたりしたときに何度も出合うので、そのたびごとに記憶がアップデートされやすくなります。
それに、がんばって覚えた単語に出合って「わかる!」と思った瞬間は、うれしいですよね。よく使う単語を覚えるということは、それだけたくさんの「わかる!」体験をできるということです。これって、学習意欲を維持する上で、とても大切なことなのです。

というわけで、まずは使用頻度の高い基本単語をしっかり身につけて、少しでも多くの「わかる!」体験をしていきましょう。

1.2. 基本単語は文章読解の中で

ところで「基本単語」って何ですか、ですって……?
いい質問ですね(笑)

ここでは厳密な定義はしませんが、ざっくりと検定試験のレベルでいうなら、ハングル検定3級、TOPIK中級(3〜4級)くらいまでの単語、と考えておきましょう。
このへんまでのレベルだと、日常的な場面で、何かの用事を済ませるための最低限のコミュニケーションはできるようになるはずです。
逆に言うと、このレベルの単語を身につければ身につけるほど、できる用事が増えるということです。便利ですね。

つまり、基本単語の場合は、日常生活上のいろいろな文章、会話を通して触れることができます。
それらの「生きた表現」の中で、使われる場面とセットで単語を覚えていけば、より鮮明な記憶とすることができるでしょう。
基本単語は文章読解の中で身につけること。これが重要です。

1.3. 基本以外の単語は単語帳(単語リスト)を利用

一方、基本レベルを超えた単語、検定試験のレベルでいえば、ハングル検定準2級以上、TOPIK高級(5〜6級)くらいになると、文章読解だけではなかなか出合えない単語もあります。
センター試験(韓国語)だと、8割(160点)以上をめざすなら、このレベルの単語が必要になってくるでしょう。
このレベルになると、書き手・話し手の心情(気持ち)や感覚を表現する単語が多くなってきます。基本単語が「何をするか」を表すのだとしたら、このレベルの単語は「どのように(どの程度)するか」というニュアンスを表すものだと言えます。行為の量ではなく質に関わる表現、と言ってもよいかもしれません。
人物の感情に触れることが避けられない文学や映画、ドラマなどを楽しむには、このレベルの単語をたくさん知っていると有利です。

けれども、このレベルの単語に文章読解を通じて出合おうとするなら、かなり大量のリーディング、リスニングが必要になるでしょう。ほかにも用事や勉強をかかえているなら、現実的には難しいと思います。
したがって、基本以外の単語については、単語帳・単語リストを活用した学習方法がどうしても必要になります。

このように、単語のレベルに応じて学習方法を変えるのだ、ということを、ぜひ頭に入れておいてください。
どんな単語でも同じ学習方法、ではないのです。

2. 基本単語の学習法

2.1. まずは文章を読解する

改めて考えてみると、単語の学習が必要な人、というのは、入門したてホヤホヤ、という人ではないはずです。
ホヤホヤの人なら、とにかくハングルの書き方と発音を身につけて、次は基本的な会話表現とそこに含まれる単語を覚え込むことから始めたはずです。
単語の学習をする、ということは、この「例文丸暗記学習」から脱皮する、ということです。

とはいえ、勉強のしかたの基本はそんなに違いません。何はともあれ、使っている教材の文章をきちんと読み解き、単語の意味を正しくイメージできるようにすることが最優先です。
ふだん使っている教科書や、試験の長文読解の文章ならば、基本レベルの単語が適切に含まれるように(そして、基本以外の単語があまり含まれないように)工夫されているはずです。
そういう工夫をされた文章をたくさん読んで、よりたくさんの単語に、よりたくさんの回数、接触していきましょう。

できれば、ひとつの文章を何度も何度も読んで、辞書を引かなくてもすべての単語がわかるようになればいいですね。
音読学習も、よい方法です。詰まらないでなめらかに音読できるようになれば、きっとそこにある単語を身につけられているはずです。体験上、おおむね30回程度繰り返して音読すれば、身につくと思います。

2.2. 辞書を「読む」

文章を読み進めるために、わからない単語を辞書で引くことがあるでしょう。
そのとき、辞書で訳語を調べるだけですませないことです。

辞書には、意外とたくさんの情報が詰まっています。
発音のこと、文法のこと、そして訳語、例文、さらにはコラムのようにして背景知識に関する説明がある場合もあります。
それらの情報をひととおり、すべて残さず読んでおきましょう。辞書は「引く」のではなく「読む」のです。

もっとも、辞書を読んだからといって、一度にすべて覚えようとする必要はありません。基本単語ならば、今後何度も出合うことになるはずです。そのときに、必要に応じて必要なところだけ記憶にとどめておけばよいのです。
ただ、記憶にとどめるにしても、まっさらの状態で初めて知ることというのは、記憶に残しにくいものです。ですから、たとえていうならシャワーを浴びるように、ざーっと辞書の記述を眺め、全体像を見ておきましょう。
それだけでも、2回目以降に辞書の同じ箇所を読むときの印象は違うはずです。

それから、基本単語は忘れることを恐れる必要はありません。基本単語は何度でも遭遇できるからです。
単語を覚えたいと思う人でも、「行く」「来る」「食べる」程度の入門ホヤホヤレベルの動詞がまったくわからない……なんてことは、さすがにないはずです。これらの動詞は接触する機会がきわめて多いので、忘れるヒマがないわけです。それと同じ考え方です。
もし忘れてしまった基本単語があっても、過剰に気にしないことです。きっともう一度出合うので、出合ったときに改めて歓迎し、覚えてあげればよいのです。
いっそのこと、「出合う機会がなければ基本単語ではないのだ」と割り切ってしまってもいいと思います。

基本単語の学習は、だいたいこんな感じです。
文章を読んでわからない単語に出合ったら辞書を「読み」、文章を繰り返し読んで身につける。
ほぼそれだけで、それ以上に特別な単語の学習まで神経を使う必要はないと思います。
ですから、ここから先の学習は、オプションメニューです。余力があれば取り組んでもよい、という程度のものです。

2.3. 単語リストに記録する

わからない単語を確実に身につけようとするなら、単語リストを自作するのがよいでしょう。
〈単語・発音(変化がある場合)・日本語訳〉の3項目は、最低限必要ですね。また、どの教材のどの箇所に登場したかもメモしておくと、文脈を確認したいときなどに便利です。

単語リストは、作るだけでも勉強になります。ですが、何度も繰り返し眺めておけば、さらに記憶が強化されます。
単語をチラッと見るだけで、意味をパッと瞬時にイメージできるかどうか。
また、日数を空けてもう一度リストを見たときに、やはりパッとイメージできるかどうか。
単語リストは、この瞬発力を鍛えるツールとして活用しましょう。
もし瞬時にイメージできないものがあれば、2.2.に戻り、もとの文章を確認したり、辞書をもう一度「読む」作業をしておきましょう。

2.4. 市販の単語帳はあくまで「余力があれば」

市販の単語帳も、最近ではいくつか出版されています。
多くの場合、それらの単語帳には、〈単語・発音(変化がある場合)・日本語訳〉の3項目に加えて、短い例文が付いています。
ですから、これらを何度も繰り返して読めば、単語のイメージをある程度身につけることはできるでしょう。

しかし、単語帳【だけ】で単語を覚えるのは、かなりのエネルギーを必要とするはずです。
より長い文章の中で、より多くの文脈とともに単語に触れた方が、より豊かなイメージを、より楽に記憶に残すことができるでしょう。

ですから、市販の単語帳を使うなら、「ひょっとして出合う機会がなくて漏れてしまった重要単語があるかも」という場合に備えた「落ち穂拾い」のツールとして活用しましょう。
あくまで「落ち穂拾い」ですから、使う単語帳は〈載っている単語のほとんどを知っている〉という易しめのレベルにとどめるのがベターです。
そうすることで、全体の8〜9割を占める「すでに知っている単語」は新しい文脈で接触して記憶を強化し、残り1〜2割の「まったく知らない単語」にエネルギーを集中できるからです。

それでも何かおすすめの単語帳を、というのであれば、ひとつ変わりダネとして、こんなのはどうでしょうか。生活用語、とくにグルメ・料理用語が多めに入った単語集です。
サトイモとか鶏のスナギモとか、あるいはざく切り、いちょう切り、短冊切りなんていう表現がわかれば、レシピを読んで料理することもできるようになりますし、ある程度料理が身についたら、テレビに山ほどある먹방(グルメ番組)もさらに楽しめます。
まさに五感を駆使した「わかる!」体験への入口を開いてくれる単語集。こんなのもおもしろいと思いますよ。

▼『キクタン韓国語(生活用語編)』

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とはいえ、見出しにも書いたように、市販の単語帳はあくまで「余力があれば」取り組む、という程度のものです。
まずは教科書や長文読解問題の文章に取り組み、辞書を「読む」ことが最優先です。

3. 基本以外の単語の学習法

3.1. 出合った単語を単語リストに記録する

さて、ここから先は、基本レベルを超えた単語の学習法についてです。
といっても、朝鮮語(韓国語)の場合、ここから先の教材は残念ながらほとんどありません。
したがって、ここでお話しできる内容にも限りがある、というのが実情です。

基本以外の単語の場合、文章読解を通じて出合うことが難しいので、いわば「発生主義」的に、出合うたびごとに覚えていく、という対策にならざるを得ません。

新聞、論説文、試験の長文読解問題などを材料にして、わからない単語に出合ったら辞書を引くとともに、単語リストを作成する。つまり、2.2.および2.3.で説明した基本単語の学習方法と同じです。

そして、単語リストを作ったら、それをときどき眺め、自分の知識をチェックしておきましょう。

3.2. 市販の単語帳を利用する

基本レベルを超えると、市販の単語帳もほとんどありません。
ひとまず網羅的な単語リストとしては、ハングル能力検定協会が出している『合格トウミ(上級編)』『上達トハギ』あたりでしょうか。

▼『合格トウミ(上級編、1・2級)』

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▼『上達トハギ』(版元品切れ?)

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ただ、これらは例文がほとんどなくて、学習が大変です。
そのため、個人的には『コスモス朝和辞典』(白水社)を「読む」形で、単語帳として使用しています。

▼『コスモス朝和辞典(第2版)』(白水社

コスモス朝和辞典第2版

菅野裕臣 白水社 1991年10月
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市販の単語帳での学習方法は、人によってまちまちだろうと思いますが、私の場合、通読しながら知らない単語のところにマーカーで印をつけていきます。
1回目はとにかく全文を通読するので大変ですが、2回目はマーカーのあるところだけを読むので、分量はぐっと少なくなります。
そして、2回目に読んでもまだあやふやなところ、わからないところには、1回目よりも少し濃い色のマーカーを重ね塗りします。
その上で、3回目以降は、濃い色のマーカーのところだけを読んでいくことになります。読む量はかなり絞られてきているはずなので、負担は意外と小さくてすみます。

というわけで、マーカーを重ね塗りする必要があるので、塗ってもにじまない固形マーカーを愛用しています。色は黄色とオレンジ。

▼固形マーカー「STAEDTLER Textsurfer gel<ステッドラー テキストサーファー ゲル>」

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4. まとめ

以上、単語学習の考え方と学習方法についてお話ししてきました。
大事なのは、基本単語とそれ以外で分けて学習すること、です。

基本単語は、文章読解と辞書読みを優先させた学習がおすすめです。その場合、単語帳はあくまで「落ち穂拾い」のオプションメニュー的な位置づけです。

一方、基本以外の単語では、文章読解だけで遭遇できるチャンスが限られているので、単語リスト・単語帳を利用した学習が中心になります。

じつは、単語リスト・単語帳を使った学習について、もう少しお話ししたいこともあるのですが、かなり長くなってしまったので、今回はこのあたりで。
詳しくはまた、改めて書いていきたいと思います。