中級の壁を乗り越えたい!

いつの日か「私は上級者です」と自己紹介できることを夢みながら、いろんな勉強に手を出している人(=私)のための、お勉強ブログ。仮開館状態での運用中です。

【センター韓国語】2017年度・第3問C

第3問

【訳文】

チョンス:こんなにみんな一緒に集まったのは、どれくらいぶりかな?
ユリ:ほんと。初等学校を卒業して初めてだから、約10年ぶりかな?
ミヌ:そうだねえ。ユリ、きみは外国に行くって言ってなかった? あれってどこだったっけ?
ユリ:スウェーデン。お父さんの仕事のために、卒業後に行って、しばらく前に帰って来た。
チョンス:きみはもう忘れたみたいだね。二人が遠くに旅立つからって、ユリの家にみんな集まったじゃないか。
ミヌ:あ、そうだったかな?
チョンス:まったく。ところでこいつはうちの学校の大学院に入ってくるんだって。
ミヌ:そうなの? じゃあこれからしょっちゅう会うといいね。
ユリ:そう。よく会おう。あなたたち二人は、連絡をちょっとして過ごしたの?(=その間、ちょこちょこ連絡を取り合ってたの?)
ミヌ:いや、卒業してすぐにプサンに行って、ほかの子たちの消息もまったく知らないで過ごした(=まったく知らないまんまだ)。
チョンス:そのとおり。こいつが引っ越して行ったから、その間、会えなかったじゃないか(=会うことがなかったんだ)。
ユリ:私とおんなじね。ところでプサンではどんなふうに過ごしたの(=プサンでは何をしていたの)?
ミヌ:初めは友達もいなくてなじまなくてたいへんだったけど、すぐに適応できたよ。
ユリ:すぐに適応したって、よかったね。私はことばのせいでとっても苦労したんだけど。
ミヌ:ぼくは両親がプサンの人だから、家でもプサンのことばを聞いて育ったからね。
ユリ:そう言われてみれば、あのときうちの家にみんな集まったとき、この子は急にプサンのことばを使ったじゃない。
チョンス:きみは記憶力が一段とすごいね。どうしてそのことまで記憶しているんだ(=そんなことまで覚えてるんだ)?
ユリ:いや、私も新しい場所に行かなきゃいけなくて、他人事のようではなかったから。
ミヌ:そうだったんだね。ところで今回はチョンスが忘れずに連絡してくれて、どんなにうれしかったかしれない。
チョンス:忘れるだなんて、ぼくがどうやってきみを忘れるんだい(=ぼくがきみを忘れるわけないだろう)? きみが学校の塀にのぼっていって降りて来れなくてあたふたしていたのも、生々しく記憶しているよ(=はっきりと覚えているよ)。
ユリ:そうね。この子が怖くなって降りられなくて、先生が下で受け止めてくださったよね。
ミヌ:うわあ。恥ずかしくも変なことをみんな記憶しているね(=そんな覚えなくてもいいことまで覚えていて、恥ずかしいよ)。
チョンス:ははは、残った話は同窓会ですることにして、とにかく早く行こう。

問1

 下線部の指示語の指示内容を問う問題である。下線部の「얘」は「이 아이」の縮約された表現で、直訳すれば〈この子〉となるが、同年代の子どもや若者同士で〈こいつ、この人〉と言うときの表現である。男性同士、女性同士の場合でも、男性から女性、女性から男性に対しても用いられる。なお、〈こいつ、この人〉という表現は、ふつう話し手や聞き手を指すことはないことに注意しておこう(ただし、「まったく、こいつときたら」のような感嘆表現では、聞き手を指すこともあり得るが、これは例外的である)。
 さて、問題文は、初等学校(日本の学校制度では小学校に当たる)の同窓生であった3人の会話である。先にも触れたように、〈こいつ、この人〉という表現は話し手・聞き手を指すことはないので、3人の会話であれば必然的に、〈こいつ、この人〉とは話し手と聞き手を除いて残った1人を指していることになる。この点に注目し、a〜dの各下線部を含む言葉の話し手と聞き手をとらえて、下線部が誰を指しているかを特定していこう。
 aは、話し手はチョンスである。そしてaを含む言葉に答えているのはミヌなので、聞き手はミヌである。したがって、残った人物はユリである。文脈を見ると、父親の仕事の都合で卒業後にスウェーデンに行ったユリが、しばらく前に帰国し、チョンスト同じ大学の大学院に入ってくるという話題であり、下線部はユリを指していると判断できる。
 bは、話し手はチョンスである。bを含む言葉に答えているのはユリなので、聞き手はユリである。したがって、残った人物はミヌである。文脈を見ると、ミヌが卒業してすぐに釜山に引っ越したために和えなかったという話題であり、下線部はミヌを指していると判断できる。
 cは、話し手はユリである。cを含む言葉に答えているのはチョンスなので、聞き手はチョンスである。したがって、残った人物はミヌである。文脈を見ると、卒業後に釜山に行ったミヌが、両親の出身も釜山であることから釜山の言葉を聞いて育っており、ユリの家に集まったときにもミヌが急に釜山の言葉を使ったという話題であり、下線部はミヌを指していると判断できる。
 dは、話し手はユリである。dを含む言葉に答えているのはミヌだが、この文は直前で初等学校時代のミヌの思い出を語っているチョンスの言葉に同調しているものであり、聞き手はチョンスである。したがって、残った人物はミヌである。文脈を見ると、ミヌが学校の塀にのぼって下りて来れなくなり、先生が下で受け止めてくださったという話題であり、下線部はミヌを指していると判断できる。
 以上から、aはユリ、b〜dはミヌを指しているので、aのみが異なる。正解は①。
■36■→①

問2

 本文の内容に一致するものを選ぶ問題である。選択肢を順に検討する。
 ①を日本語訳すると「ミヌは、ユリがスウェーデンに住んでいることを知って、うらやましがった」となる。ユリはスウェーデンからしばらく前に帰ってきており、ミヌがユリをうらやんでいるという表現もないので、①は不適切である。
 ②を日本語訳すると「ユリは、お父さんの仕事のために大学卒業後に韓国に帰って来た」となる。ユリは、父親の仕事の都合で初等学校卒業後にスウェーデンに行き、しばらく前に帰って来た、と言っている。しかし、韓国に帰って来たのが父親の仕事のためであるかどうかは不明だし、それが大学卒業後であるかどうかもわからない(ユリがこれから大学院に入る、ということだけはわかる)。よって②も不適切。
 ③を日本語訳すると「ミヌは、初等学校を卒業したあと、友達と会い続けることができなかった」となる。下線部aとbの間にあるミヌの言葉から、ミヌは初等学校を卒業するとすぐに釜山に行き、ほかの友達の情報も知らずに過ごした、ということがわかる。③はこの内容に合致する。
 ④を日本語訳すると「ミヌは、プサンの言葉になじんでいるほうなので、ユリほど苦労はしなかった」となる。下線部bとcの間のユリとミヌの対話を見ると、ユリが言葉のために非常に苦労した一方で、ミヌは両親が釜山の人であり、家でも釜山の言葉を聞いて育ったと述べている。④はこの内容に合致する。
 ⑤を日本語訳すると「ユリは、韓国に来ることになって、ミヌとチョンスに連絡をした」となる。下線部cとdの間にあるチョンスの言葉から、チョンスがミヌに連絡をしたことがわかる。よって⑤は不適切である。
 ⑥を日本語訳すると「久しぶりにあった3人は、同窓会で昔の話を分かち合っている」となる。本文の最後にあるチョンスの言葉から、3人はこれから同窓会に向かうところであるとわかる。よって⑥は不適切である。
 以上から、本文の内容に合致する選択肢は③④である。
■37■・■38■→③・④(順不同)

2017年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 全設問
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B 여기!
第4問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5