中級の壁を乗り越えたい!

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【センター韓国語】2017年度・第5問・問1〜問3

第5問

問1

①A:それだけでなく/B:そのために
②A:そうだとすれば/B:そうであるほど
③A:そうかもしれないが/B:しかし
④A:そうかと思えば/B:それにもかかわらず

 2つの空欄にあてはまる言葉を答える問題である。空欄はいずれも段落の最初にあるので、空欄のある段落と前の段落とのつながりを考えて答える。
 まず、問題文全体の構造を見ておこう。問題文は全体で6つの段落から構成されており、第1段落では韓国における「電車(路面電車)」の導入をめざす地方都市の存在の事例、第2段落では自転車の利用を進める都市の存在の事例が取り上げられている。
 以上の2つの段落の事例を導入として、第3段落では「圧縮都市(コンパクトシティ)」という概念が紹介され、その内容が説明されている。第4段落は、圧縮都市という概念が登場するに至る背景として、近代以後の都市が抱えてきた問題が紹介されている。第5段落では、既存の都市を圧縮都市に作り替えていく際の問題点が挙げられている。
 第6段落では、圧縮都市を導入することのメリットを紹介するとともに、圧縮都市の導入が人々の生活スタイルも変えることが期待できるとして、問題文を結んでいる。
 つまり、第1・2段落が序論、第3〜5段落が本論、第6段落が結びという構造になっていることがわかる。この構造をふまえて空欄付近の段落のつながりを確かめていこう。
 Aは第2段落の最初にある。第1・2段落は序論部分であり、2つの事例が並列的に紹介されている。そして、第1段落では電車の事例、第2段落では自転車の事例が紹介されているのだから、Aには〈(第1段落では電車の事例だったが)その一方で〉という意味を表す接続表現が入ればスムーズにつながる。選択肢を検討すると、①④があてはまる可能性がある。②は、前の内容にそのまま続いて次の内容を示す順接の意を表しており、不適切。③は、前の内容に反して次の内容を示す逆接の意を表しており、これも不適切。
 Bは第6段落の最初にある。第6段落は結論部分だが、段落全体としては圧縮都市のメリットを説明していることに注目しよう。一方、第5段落では、圧縮都市に作り替える際の問題点が挙げられているのだから、Bには〈(第5段落では問題点が挙げられていたが)それとは反対に〉という逆接の意味を表す接続表現が入ればスムーズにつながる。選択肢を検討すると、③④があてはまる可能性がある。①は、前の内容を満たすために必要な条件を示す意を表しており、不適切。②は、前の内容に伴って後の内容が変化する意を表しており、不適切。
 以上のABをともに満たす選択肢は④。
■45■→④

問2

 本文中の脱落した文を補う問題。まずは脱落した文を注意深く読み解き、その文自体に前後とのつながりのカギとなる表現がないかを見きわめることが必要である。脱落分を日本語訳すると、次のようになる。

【訳文】もし勤労者たちの出退勤時間がいまよりも減少したならば、究極的には企業の生産性向上も期待することができるだろう。

 ここでは、「勤労者の出退勤時間が……減少」、つまり〈労働者の通勤時間が短縮〉するという話題が登場している。ア〜エの各空欄の前後を見て、この話題がスムーズにつながるかどうかを検討していくとよい。
 アでは、空欄の後に「このような自転車乗り推進政策」とあることがカギとなる。つまり、もし脱落文がアに入るなら、その内容は「自転車乗り推進政策」でなければならない。これは脱落文とは異なる話題なので、不適切である。
 イでは、空欄の前に「圧縮都市」という言葉の定義の説明があり、空欄の後にどのような都市であるかの具体的な説明がある。もし脱落文がイに入るなら、その内容は〈圧縮都市とはどのような都市か〉の説明でなければならない。これは脱落文とは異なる話題なので、不適切である。
 ウでは、空欄の後に「このように、都市の膨張は近代社会では必然的なものであったが」とあることがカギとなる。つまり、もし脱落文がウに入るなら、その内容は〈近代社会における都市の膨張の必然性〉の叙述でなければならない。これは脱落文とは異なる話題なので、不適切である。
 エでは、空欄の前に〈圧縮都市の導入とそれに付随する効果〉の説明があり、空欄の後に〈人々の余った時間の活用〉という話題が続いている。もし脱落文がエに入るなら、その内容は〈圧縮都市の導入に伴って生じる、人々の時間が余るという効果〉の説明でなければならない。これは脱落文の内容に合致する。
 以上から、脱落文はエの箇所に入ると判断できるので、正解は④。
■46■→④

問3

 下線部に関連する本文中の記述として適切なものを選ぶ問題。下線部を含む「이와 같은 도시가 안고 있는 여러 문제점」という箇所を日本語訳すると、「このような都市がかかえているいくつかの問題点」となる。つまり、下線部よりも前に列挙されている都市の問題点の記述に合致する選択肢を選べばよい。選択肢を順に検討する。
 ①は、「都市の膨張」が招いてきた問題点の1つとして「都市郊外を分別なく開発すること」を挙げている点に合致する。これが正解。
 ②は、「道路の渋滞」に関する記述が本文中にはないので不適切。
 ③は、「企業が公害に工場を移した」という記述が本文中にはないので不適切。
 ④は、「自動車の運転ができないお年寄り」について、「増加し」としている点が本文中にはないので不適切。
■47■→①

【訳文再録】

最近、韓国のいくつかの地方都市で新たに「電車(=路面電車)」を導入する計画があるという。電車とは、道路に設置した軌道の上を走る交通手段を意味することばで、既存の(=すでにある)電鉄とは異なる。事実、韓国でも久しく前にはソウル、釜山などに電車が走っていた。いっときソウル市内だけでも計40キロに達する路線が運行され、それこそ市民の足として利用された。しかし、道路の拡張や自動車の普及、地下鉄建設などによって、電車は足跡を隠した(=姿を消した)。そんな電車を21世紀に再び復活させようというのである。
 (A=そうかと思えば)自転車に乗ることを政策的に推進している都市もある。あちこちに自転車専用道路を新たに整備して、自転車を立てておく(=止めておく)場所も市内の何箇所にも設置している。また、公営自転車貸与(=レンタサイクル)サービスを実施して、市民が市内のあちこちに設置された無人貸与機を利用し、いつでも手軽に自転車を借りて乗ることができるようにしている。〈ア〉このような自転車乗り推進政策に対し、市民も80%程度が肯定的に評価しているという。そしてその影響で、自転車を購入して出勤・退勤する人々も持続的に増えている(=増え続けている)という。
 この2種類の事例の背景には、「圧縮都市」という概念がある。圧縮都市とは、あちこちに散らばっている都市の主要機能を市内中心部の狭い空間に集中させ、コンパクトに造成した都市をいう。〈イ〉すなわち、住居、商店、会社のような基本的な施設を中心部に集め、人々が徒歩や自転車、電車などによって近距離内で日常生活をすることができるように作った都市を言うのである。先に言及したように、電車を新たに導入したり、自転車乗りを政策的に推進するのは、圧縮都市を作り上げる上で必要な一部分だと言うことができる。
 近代以後、地方の人々は相次いで都市に移住し、都市はそれだけ拡大した。また自動車の普及で移動が容易になり、都市の外形的な膨張は引き続き進行している。〈ウ〉このように、都市の膨張は近代社会では必然的なものであったが、同時にいくつもの問題点を招いてきたこともまた事実である。自動車が排出するガスによる環境破壊、都市郊外を分別なく開発することなどが代表的である。そのうえ、都市が拡大して人々が市内中心部から周辺部に移住した結果、かえって中心部に空洞化現象が起こりもした(=空洞化現象さえ起こった)。また自動車なしでは拡大した都市の中を移動することも大変であるために、自動車を運転できない高齢者は相対的に不便を強いられている。このような都市がかかえているいくつかの問題点を解消するための代案として注目を受けるようになった(=注目されるようになった)のが、この圧縮都市の概念である。
 もちろん【48=圧縮都市の導入】に問題がないわけではない。すでに建設された都市の周辺部をどのようにするのかが代表的な問題である。周辺部に建設されたいくつもの施設を中心部に移動させることは容易ではなく、かといってそれを維持することもまた容易ではないためである。そしてその間、自動車中心社会になじんだ市民たちの意識が容易に変わり得るかということも、大きな問題として残っている。
 (B=それにもかかわらず)都市問題の解決策として圧縮都市を導入することで、得ることができる効果は大きいはずであり、またほかの付随的な効果も予想される。〈エ〉そして余った時間を活用して、人々が文化的な生活をさらに楽しむこともできるだろう。狭い都市空間の中でのんびりした余裕ある暮らしを楽しむことができることも、圧縮都市を導入することで生まれる長所だと言うことができる。このように、圧縮都市は、都市の形態だけでなく人々の生活スタイルまでも変えるものとして期待される。

2017年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 全設問
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B C
第4問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第5問 本文全訳 여기! 問4・問5