中級の壁を乗り越えたい!

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【センター韓国語】2017年度・第1問

第1問

 第1問のAは、例年、発音の変化について問う問題が出題されている。とくに、特定の組み合わせの子音が並び合うことによって発音が変わる「子音の同化」と呼ばれる変化がねらわれやすい(ここでは問1)。例えば「濃音化」「激音化」「口蓋音化」などがそれである。「子音の同化」がねらわれやすいのは、子音の組み合わせの数が多く、変化のしかたも多岐にわたるためだ。
 「子音の同化」のルールについては、教科書や辞書の付録にある発音解説ページなどでの説明をよく読んで理解するのが基本である。しかしそれらの説明は厳密性・網羅性を重視しているので、ぱっと読んだだけでは理解できないかもしれない。そういう場合は、説明とともに例示されている語句を音読して、自分の口の部品の動きを確かめるとよい。唇は開いているかどうか、舌は口のどのあたりに接しているか、のどはどういう状態か、といったポイントを意識しながら音読すれば、何度か繰り返すうちに、「子音の同化」が起こるイメージを自分なりにつかむことができるはずである。そのイメージを応用すれば、「子音の同化」を問う問題の正答率はかなり上がるはずだ。
 また、漢字語(熟語)の中での音変化や、合成語・複合語、文の中での単語の連なりによる音変化にも注意が必要である。こちらは、変化のルールの数が限られているので、重要なルールを覚えて対応するのがよいだろう。とくに今回の問1で出題された「ㄴ挿入規則」は頻出なので、ぜひ覚えておきたい。

問1

【訳文】前庭に木の葉がたくさん積もった。

 aは「앞(前)」と「마당(庭)」という二つの語がくっついた合成語である。「앞」は表記上のパッチムはㅍだが、パッチムがㅂとなった「압」のように発音される。この「압」と「마」が連なることで、鼻音化が起こる。つまり、ㅂがㅁのように発音され、「암마당」のように発音されるのである。
 bは「나무(木)」と「잎(葉)」という二つの語の間に、〈〜の〉という意味を持つㅅ(サイシオッ 사이 시옷 と呼ばれる)が挟まってできた「나뭇잎(木の葉)」という語に、助詞「이(が)」が付いたものである。サイシオッの直後に이または[y]の音を含む母音が続く場合、サイシオッの後にㄴが挿入されて発音される(ㄴ挿入規則と呼ばれる)。その結果、ㅅとㄴが連なることで鼻音化が起こり、結果的にサイシオッはㄴとして読まれる。つまり「나뭇잎」は「나문닢」のように発音されるのである。bはこれに「이」が続いているので、「나문니피」のように発音される。
 以上のabをともに満たす選択肢は①である。
■1■→①

問2

【訳文】手の甲と足の甲ばかり蚊に食われた。

 aは「손(手)」と「등(背)」という二つの語がくっついた合成語である。またbは「발(足)」と「등(背)」という二つの語がくっついた合成語である。合成語になった場合、後の要素の最初の子音が濃音化することが多い。どういう場合に濃音化するのかについては、厳密なルールはなく、ケースバイケースで覚えていく敷かないのが実情である。
 ただし、「手」「足」のように身体の部位に関連する合成語では、濃音化することが多いことを覚えておくとよいだろう。たとえば「손바닥(手のひら)」は「손빠닥」、「발바닥(足の裏)」は「발빠닥」のように発音されるし、「손가락(手の指)」は「손까락」、「발가락(足の指)」は「발까락」のように発音される。これらと同様に、aの「손등(手の甲)」は「손뜽」、bの「발등(足の甲)」は「발뜽」のように発音される。正解は③。
■2■→③

 混同しやすい綴りの書き分けを問う問題である。発音をカタカナ表記で暗記していると、母音の「어」と「오」や、「우」と「으」などを混同してしまいやすい。また、平音・激音・濃音の区別や、パッチム(終声子音)の違いなども間違えやすい。この書き分け問題では、これらのポイントが問われやすいので意識しておきたい。

問1

①村の入り口に小川が流れ(てい)る。
掲示板に案内文が貼ってあった。
③彼は朝起きて伸びをした。
キムチチゲを1つ注文した。

 ①は「개울(小川)」、③は「기지개(伸び)」、④は「김치찌개(キムチチゲ)」という語で、空欄部分は개である。②の「계시판(掲示板)」のみ、空欄部分は계である。正解は②。
■3■→②

問2

①子どものワラビのような(=小さな)手がかわいい。
②その人はすこしこだわりが強い方だ。
③プルゴギ(を)もう1人分だけください。
蜘蛛の糸に虫がかかっている。

 ①は「고사리(ワラビ)」、②は「고집(固執、こだわり)」、③は「불고기(プルゴギ、焼肉)」という語で、空欄部分は고である。④の「거미줄(蜘蛛の糸)」のみ、空欄部分は거である。正解は④。
■4■→④

問3

①重要な話だから、うわの空で聞かないでください。
②試験の成績がよく出て来た(=試験でよい成績が返ってきた)。
③鋭敏な問題(=敏感な問題)なので、気軽に申し出られなかった。
④この冬にはインフルエンザが大いにはやっている。

 ①は「건성(うわの空)」、②は「성적(成績)」、④は「극성(大いにはやる)」という語で、空欄部分は성である。③の「선뜻(気軽に)」のみ、空欄部分は선である。正解は③。
■5■→③

 漢字の読みを問う問題である。日本語の音読みでは同じ読み方のように思える漢字でも、韓国語では読み方が異なっている場合は少なくない。漢字の読みの問題では、この種の漢字が集中的に出題される傾向にある。よく使われる熟語の中の漢字については、読み方を正確に覚えておきたい。読み方がわからない熟語が出題された場合でもあわてないで、下線部の漢字を含む別の熟語を思い浮かべてみると、解答の糸口が見つかることもあるはずだ。
 なお、すべての漢字についてあてはまるわけではないが、日本語の音読みの歴史的仮名遣いを知っていると、韓国語の漢字の読み方をある程度推測できることがある(とくに日本語の音読みで伸ばす音や「ん」を含む場合)。そこで以下の解説では、参考までに、歴史的仮名遣いによる日本語の音読みも示しておく。

問1

 aは歴史的仮名遣いで「しんぎ」、ハングルでは진위。bは歴史的仮名遣いで「さぎ」、ハングルでは사기。cは歴史的仮名遣いで「ぎもん」、ハングルでは의문。下線部の表記はすべて異なるので、正解は⑤。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。
■6■→⑤

問2

 aは歴史的仮名遣いで「きやうかう」、ハングルでは강경。bは歴史的仮名遣いで「のうかう」、ハングルでは농경。cは歴史的仮名遣いで「かうせい」、ハングルでは갱생。下線部の表記はaとbが同じなので、正解は①。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。なお、cの「更」は、「變更(変更)변경」などの熟語では경と読むが、「更新갱신」「更生갱생」などの熟語では갱と読むので注意が必要である。
■7■→①

問3

 aは歴史的仮名遣いで「せんざい」、ハングルでは세제。bは歴史的仮名遣いで「はいぢよ」、ハングルでは배제。cは歴史的仮名遣いで「せいし」、ハングルでは제지。下線部の表記はすべて同じなので、正解は⑤。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。
■8■→④

2017年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 여기!
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B C
第4問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5