中級の壁を乗り越えたい!

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【センター韓国語】2017年度・第4問・問4〜問5

第4問

問4

 空欄に適する表現を答える問題である。空欄の直前・直後を見て答えるのが基本だが、じつはこの設問では、本文全体の構造をふまえて答えることが求められている点に注意が必要である。
 改めて本文全体の構造を振り返ると、全体は5つの段落で構成されている。第1段落では、チェジュ島への移住、「チェジュ移民」という話題の提示が行われている。第2段落
・第3段落では、問1でも見たように、パーソナリティが読んだという本の内容が紹介されている。第4段落では、本の内容を受けて、キム・スミンのようにそれまでの生活を離れて移住を決めることは難しい、というパーソナリティの感想が述べられている。そして第5段落では、5月に行われるキョンボックン(景福宮)の夜間開放が紹介されている。
 以上の構造を見ると、第5段落のみまったく異なる話題に移っているという印象を受けるだろう。しかし、本文全体はFMラジオ番組でのパーソナリティによる語りなのであり、その内容には一連のつながりがあるはずである。とすると、第4段落と第5段落の間にも、何らかのつながりがあると考えなければならない。
 では、第5段落のキョンボックンの夜間開放の話題は、それまでの話題とどのようにつながっているのだろうか。そのことが、この設問のカギを握っている。つまり、空欄の中には、第4段落までの話題(キム・スミンのチェジュ島への移住という決断と、それに対するパーソナリティの感想)と、第5段落の話題(キョンボックンの夜間開放)に共通する内容が入ると考えることができるのである。
 以上をふまえて選択肢を検討してみよう。各選択肢の日本語訳は次の通りである。

①連休を送りたい(=過ごしたい)方
②一息つきたい方
③桜の花を見物したい方
④おしゃれな夜景を見たい方

 選択肢の中で、第4段落までの話題と第5段落の話題の両方に共通する内容は、②のみである。空欄を含む一文全体で見ると、〈(チェジュ島への移住のように、これまでの日常から)遠く離れることはできないけれど、(せめて、日常生活を送っている)ソウルの中ででも(ささやかに日常から離れて)一息をつきたい方がいらっしゃるなら、こんな休息はいかがでしょうか〉と提案しているのである。この形であれば、第4段落までの話題をふまえて、新たな話題を提示する一文になる。よって②が正解。
 ①③④は、いずれも第5段落の話題に関連する内容だが、第4段落までの話題からは離れているので不適切。
■42■→②

問5

 本文の内容に一致するものを選ぶ問題である。選択肢を順に検討する。
 ①を日本語訳すると「このごろ新たな暮らしを求めてチェジュ島を旅立つ人々が増えている」となる。第1段落を見ると、「このごろはチェジュ島に暮らしの場を移す人も増えている」とあるので、①の「チェジュ島を(=チェジュ島から)旅立つ」という箇所が不適切である。
 ②を日本語訳すると「キム・スミンさんは、職場の生活に懐疑を感じて故郷に帰って行った」となる。第2段落を見ると、「故郷でもないチェジュ島に行くと決心した」とあるので、②の「故郷に帰って行った」が不適切である。
 ③を日本語訳すると「チェジュ島の真正な(=ほんとうの)魅力を知る人(である)ほど、定着の可能性が高い」となる。本文では、移住前に夢みていた「ロマン」と島での「現実」とのギャップについては述べられているものの、「チェジュ島の真正な魅力」については述べられていないので、③は不適切である。
 ④を日本語訳すると「『チェジュ移民』の困難のうちのひとつは、近隣住民との関係だ」となる。④は、第3段落の後半部分で述べられている内容に合致する。
 ⑤を日本語訳すると「『チェジュ移民』のためには、旅行者とは異なる心の準備が必要だ」となる。⑤は、第4段落の最後に引用されているキム・スミンの言葉に合致する。
 ⑥を日本語訳すると「ユ・ウニムさんは、退職後の『チェジュ移民』計画を立てたことがある」となる。第4段落で述べられているパーソナリティの感想では、「そのような決定(=キム・スミンのようにソウルの日常を離れてチェジュ島に移住するという決定)をすることは簡単ではないようです」と述べられており、⑥は不適切である。
 以上から、本文の内容に合致する選択肢は④⑤である。
■43■・■44■→④・⑤(順不同)

【訳文再録】

 こんにちは。FMラジオ「ひと晩のデート」のユ・ウニムです。今日の最初の曲、いかがでしたか? 「チェジュ島の青い夜」という歌でした。歌の歌詞のように、みなさんもすべてのことを忘れて遠くに旅立ちたいときがありませんか? 忙しい日常に背を向けて(=忙しい日常を離れて)どこかに旅立ちたいとき、私はいつもチェジュ島の青い夜の海を思い浮かべます。愛する恋人と一緒に行ってもよいけれど、毎日反復される都市生活から抜け出して、やみくもに一人で旅立ってもよい場所でしょう。このごろはチェジュ島に暮らしの場を移す方々も増えているといいますね。「チェジュ移民」ということばまであると言います。職場から引退した方々だけが行くのではなく、若者たちも新たな暮らしを求めてチェジュ島に集まっているといいますね。
 私は最近、それと関連した本を1冊読みました。この本の主人公であるキム・スミンさんは、ソウルで職場に通っていた30代の女性です。月給も人がうらやむほどもらう職場でしたが、彼女は家も職場もすべて整理して(A=身軽に)ソウルを離れます。故郷でもないチェジュ島に行こうと決心した理由は何でしょうか? キム・スミンさんは、職場と家の間を往復する日常に疲れ、自らに尋ねてみたといいます。「いまの私は本当に幸せなのだろうか? 10年後にもいまの暮らしを後悔しない自信があるだろうか?」彼女は、チェジュ島の魅力にはまり込んで暇さえあれば訪れていた自分を信じることにしました。すっかりチェジュ島で暮らすことにしたということです。
 あまりにもロマン的な考えだと首を横に振る方々もいらっしゃるでしょう。キム・スミンさんは、そこで自身が夢みていたロマンとはまったく異なる現実に出会うことになります。小さな畑ひとつを手入れすることも巨大な壁のように迫ってきて、旅行者の目で眺めていた風景も(B=前と同じでは)なかったのです。屋根を飛ばし、塀を崩してしまうほどに強い風、どこからかしょっちゅう這い出てくる虫たち……。寂しい暮らしも考えなければならないけれど、人情あふれる温かい近所の関係も、考えるほど易しいものではありませんでした。近所の人々は、彼女が遠からず再び旅立つ人であるという考えから、ちょっとやそっとでは(=なかなか)心を開きませんでした。島に移ってからひと月の間は、いつも泣いていたそうです。自分がまるで島の中の島になったみたいだったというのです。それから3年が過ぎたいま、彼女もいまやかなりそれらしい島の人になりつつあるそうです。旅行者のための共同住宅(=シェアハウス)も運営し、隣の家のお祖母さんたちとは気兼ねなくおかずを分け(合っ)て食べる間柄になったそうです。このごろでは地域共同体の未来についても考えているそうです。
 いかがですか? みなさんもキム・スミンさんのように旅立つことができますか? 私もチェジュ島が好きでよく行きはするのですが(=よく行くのは行くのですが)、そのような決定をすることは簡単ではないようです(=簡単ではないように思われます)。予想さえしなかった困難が待っているでしょう。キム・スミンさんもそうおっしゃっていますね。「あなたが夢みる場所は、ここではないかもしれない。旅行ではない(=ではなく)定着を考えるなら、それだけの覚悟と忍耐が必要だ」ということばです。
 遠く旅立つことはできないけれど、ソウルの中ででも【42=一息つきたい方】がいらっしゃるなら、こんな休息はいかがでしょうか? 次の月ならば(=来月になれば)景福宮キョンボックン)を夜間に開放するそうです。5月3日から5月12日まで、平素には(=ふだんは)見ることができなかった都心の中の古宮(=古い宮殿)の美しい夜景を見ながら、しばらく頭を冷やすのはいかがでしょうか? 観覧時間は午後7時から午後10時までだそうですが、インターネットでのみ予約することができるので、関心がおありの方々は、景福宮のホームページを確認してください。昨年は10分で売り切れになったそうですので、余裕を持って(前もって)お調べくださるのがよいようです。では、次の曲に入ってみましょうか? 今日のような日にぴったり合う春の歌でしょう? 「桜のエンディング」、ご一緒に聞いて、次の話(=次の話題)を続けてみましょうか。

2017年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 全設問
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B C
第4問 本文全訳 問1〜問3 여기!
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5