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【センター韓国語】2018年度・第6問・問4〜問5

第6問

問4

 本文の内容に一致しないものを選ぶ問題である。選択肢を順に検討する。
 ①を日本語訳すると、「ラダック地方の時間表現の中には、『時計の時間』と関わりのない表現もある」となる。ラダック地方の時間表現として、段落(2)では、「何時何分」という時計の時間とは異なり、自然の移ろいやそこに生きる人の暮らしを基準とした時間表現が紹介されている。よって①は適切であると言える。
 ②を日本語訳すると、「ミレーの絵の中の農夫たちは、反復する生活のリズムに合わせて祈りを捧げた」となる。ミレーの絵の中の農夫についての説明は段落(3)の後半にあり、「毎日鳴る3回の鐘の音に従って反復的に循環していた中世初期の日常」と述べられている。よって②は適切であると言える。
 ③を日本語訳すると、「中世初期のヨーロッパの時間は、時計塔の時間と密接に連関していた」となる。段落(4)では、「中世初期」のヨーロッパの時間は「鐘の時間」であると述べられており、「時計塔の時間」は「直線的な時間」であり「近代商人」たちの時間であると述べられている。よって③は不適切である。
 ④を日本語訳すると、「近代以前の時間とは、反復的で循環する宇宙の時間を意味する」となる。近代以前の時間、すなわち中世初期の時間が「反復的で循環する」ものであるという点については、段落(3)の最後で述べられている。また、「循環的時間」が「神話の時間」であることについては、段落(5)の最後で触れられている。よって④は適切であると言える。
 以上から、本文の内容に一致しないものは③である。
■49■→③

問5

 本文の内容に一致するものを選ぶ問題である。選択肢を順に検討する。
 ①を日本語訳すると、「手帳の管理を上手にできるようになったのは、前近代的時間観念を克服したためである」となる。段落(5)では、手帳などを利用して管理する「直線的時間」が現代社会を支配しているというが、効果的に管理しようとすればするほど時間が不足する、と述べられている。つまり、「手帳の管理を上手にできるようになった」という①の説明に合致する記述は本文中にないので、不適切である。
 ②を日本語訳すると、「時間を効率的に管理しようとしないで、循環的時間に戻らなければならない」となる。段落(5)では、時には循環的時間に身を任せることを提案しているが、「時間を効率的に管理」することをやめるべきだと説いてるわけではないので、②は不適切である。
 ③を日本語訳すると、「現代人は時間を管理しようとするが、時間が人間を管理するようになったのかもしれない」となる。段落(5)の空欄■48■の前の文では、「人間が時間を管理するのではなく、時間が人間を管理している感じだ」と述べられており、③はこの箇所に合致する。
 ④を日本語訳すると、「東洋の時間観念よりも、西洋の時間観念がより体系的で科学的である」となる。「東洋の時間観念」と「西洋の時間観念」を比較している箇所は本文中にないので、④は不適切である。
 以上から、本文の内容に一致するものは③である。
■50■→③

【訳文再録】

(1)いつも時間に追われる現代人にとって、手帳は必需品だということができる。月単位と週単位の計画はもちろん、時間帯別に一日の計画を緻密に立てなければ、与えられた課題を効率的に遂行するのが難しくなったためである。手帳の管理を上手にするということは、結局、自分自身の時間を上手に管理するということを意味する。
(2)ヒマラヤの西方、ラダック地方の時間はこれとは異なる。そこでは「コングロット」といえば「暗くなった後から寝るときまで」を意味し、「ナイチェ」という言葉は「日が山の頂にかかっているとき」を意味する。「チペ・チリッ」は「日が昇る前に鳥たちが歌う朝の時間」を意味するという。ラダックの人々は「何時何分」に会おう、というやり方では約束をしない。
(3)ヨーロッパでも、牧畜と農業が中心であった古代および中世初期の社会では、時間とは、ローマ神話における時間のように、宇宙の反復するリズムにすぎなかった。こうした時間を「循環的時間」と言うことができる。時間が管理され始めたのは、ヨーロッパの中世都市に教会の鐘の代わりに巨大な時計塔が登場してからだという見解もある。畑で働いていた仕事の手を置いて祈りを捧げるミレーの絵におけるように、毎日鳴る3回の鐘の音に従って反復的に循環していた中世初期の日常が、時計塔の登場とともに大きく変わっていったというのである。
(4)時計塔の登場は、都市と都市を行き交っていた商人たちの活躍と密接に関連している。近代社会を開拓していった商人たちは、未来の利益を予測しなければならなかったが、時計はこうした商人たちに、計算可能な時間を提供した。鐘の音で時間を知らせてくれたa「鐘の時間」すなわち中世の「循環的時間」ではなく、予測可能な未来を知らせてくれるb「時計の時間」すなわち近代商人たちの「直線的時間」が登場したのである。
(5)時計塔の登場以後、今の現代社会を支配しているのは、手帳などを利用して管理される「直線的時間」である。たいへん短く分けられた時間を、もう少し効率的に管理するために皆が気を配るが、そうすればそうするほど、時間はいつも足りなくなってばかりである。人間が時間を管理するのではなく、時間が人間を管理している感じだ。■48■ばかりを強調する直線的時間が、現代人たちの大事なたくさんのものを奪って行ってしまったのかもしれないのである。時には星が降る野原に立って星を数えたり、神話の世界にはまりこんで循環的時間に自身をゆだねてみるのはどうだろうか。

2018年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 全設問
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B C
第4問 全設問
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第6問 本文全訳 問1〜問3 여기!