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【センター韓国語】2018年度・第6問・問1〜問3

第6問

問1

 段落の小タイトルを問う問題である。言い換えれば、該当する段落で述べられている内容を短くまとめたものを問う問題である。まずは本文全体の流れを見ておこう。
 段落(1)では、手帳を用いて緻密に計画を立てて管理する現代人にとっての時間の話題が提示されている。
 次に段落(2)では、(1)で見た現代人の時間と大きく異なる事例として、ラダックの人々の時間の事例が紹介されている。それは、「何時何分」という数値化された時間ではなく、自然の移ろいやそこに生きる人の暮らしを基準とした時間であると言えよう。
 これに対して段落(3)では、ヨーロッパにおける時間について述べている。古代・中世初期の反復的、循環的な時間が、時計塔の登場以後、管理される時間へと変わっていったという見解が紹介されている。
 そして段落(4)では、時計塔の登場以後の時間を、中世の「循環的時間」と待避させて、「直線的時間」と名づけている。
 最後に段落(5)では、現代の時間が「直線的時間」であると位置づけた上で、時間を短く切り分けて管理しようとする現代人が、かえって時間に管理され、多くのものを奪われているのではないか、ととらえている。
 以上のような理解をふまえて、選択肢を検討しよう。各選択肢の日本語訳は次の通りである。

① 段落(3):ヨーロッパでの時間観と変化/段落(4):時計の登場と直線的時間
② 段落(3):ヨーロッパの牧畜と農業/段落(4):直線的時間の登場
③ 段落(3):教会の鐘と時計塔の登場/段落(4):商人の役割と循環的時間
④ 段落(3):ローマの時間とミレーの時間/段落(4):鐘の時間と時計の時間

 段落(3)(4)だけを見て判断するのではなく、本文全体の流れをふまえた上で答えなければならない。この本文は、現代人にとっての時間の特徴を「直線的時間」ととらえることに主眼があり、それと対比されるものとして中世ヨーロッパの「循環的時間」(と、ラダックの時間)が挙げられているのである。この点に着目して適切なタイトルをつけた選択肢は、①である。
 ②は、「牧畜と農業」という点が本文全体の流れから外れていて、段落(3)の主要な内容とは言えない。③は、「商人の役割」という点が本文全体の流れから外れていて、段落(4)の主要な内容とは言えない。④は、「ローマの時間とミレーの時間」が本文全体の流れから外れていて、段落(3)の主要な内容とは言えない。
■46■→①

問2

 本文中の用語に関する説明として適切なものを選ぶ問題である。下線部aの「鐘の時間、下線部bの「時計の時間」について述べているのは段落(3)〜段落(5)なので、各選択肢の記述をこれらの段落の記述と照らし合わせればよい。
 各選択肢を順に検討する。
 ①を日本語訳すると、「『鐘の時間』は、自然の反復するリズムを時間として表現したものである」となる。これは段落(3)の記述に合致する。
 ②を日本語訳すると、「『時計の時間』は、近代の商人たちが登場する前の時間を意味する」となる。段落(4)では、近代商人たちの時間が「直線的時間」であり「時計の時間」であることが説明されているので、②は不適切である。
 ③を日本語訳すると、「『鐘の時間』が登場して、未来の利益を予測するようになった」となる。段落(4)では、「未来の利益を予測」しなければならない近代の商人たちの時間が「時計の時間」であることが説明されているので、③は不適切である。
 ④を日本語訳すると、「『時計の時間』が登場して、手帳を管理する必要がなくなった」となる。段落(5)では、手帳などで管理される時間が「直線的時間」であり、「直線的時間」は段落(4)で「時計の時間」と同じものとされているので、④は不適切である。
 以上から、最も適当な選択肢は①である。
■47■→①

問3

 空欄にあてはまる語句を問う問題である。空欄のある段落(5)は、近代以後の時間である「直線的時間」が現代人に及ぼした影響について述べた上で、時にはそれと異なる「循環的時間」に身を委ねてみることを勧めている。空欄はその前半部分にあるので、「直線的時間」が現代人に及ぼした影響の説明に当たる。
 また、空欄の直前を見ると、「人間が時間を管理するのではなく、時間が人間を管理している感じだ」とある。つまり、「直線的時間」が現代人を「管理している感じ」に該当する特徴の説明が、空欄にあてはまる内容である。
 そこで選択肢を検討してみよう。各選択肢の日本語訳は次の通りである。

①近代科学の重要性
②合理的効率性
③便利な日常生活
④根本的認識の変化

 最も適切なものは、②である。「合理的効率性」は、〈時間を短く分けて効率的に管理する〉という形で時間と関係しており、これを過度に強調することが、「星を数え」たり「神話の世界」にはまり込んだりする人間性を失わせるものであると言える。
 ①③④は、いずれも時間との関連性が薄く、不適切である。
■48■→②

【訳文再録】

(1)いつも時間に追われる現代人にとって、手帳は必需品だということができる。月単位と週単位の計画はもちろん、時間帯別に一日の計画を緻密に立てなければ、与えられた課題を効率的に遂行するのが難しくなったためである。手帳の管理を上手にするということは、結局、自分自身の時間を上手に管理するということを意味する。
(2)ヒマラヤの西方、ラダック地方の時間はこれとは異なる。そこでは「コングロット」といえば「暗くなった後から寝るときまで」を意味し、「ナイチェ」という言葉は「日が山の頂にかかっているとき」を意味する。「チペ・チリッ」は「日が昇る前に鳥たちが歌う朝の時間」を意味するという。ラダックの人々は「何時何分」に会おう、というやり方では約束をしない。
(3)ヨーロッパでも、牧畜と農業が中心であった古代および中世初期の社会では、時間とは、ローマ神話における時間のように、宇宙の反復するリズムにすぎなかった。こうした時間を「循環的時間」と言うことができる。時間が管理され始めたのは、ヨーロッパの中世都市に教会の鐘の代わりに巨大な時計塔が登場してからだという見解もある。畑で働いていた仕事の手を置いて祈りを捧げるミレーの絵におけるように、毎日鳴る3回の鐘の音に従って反復的に循環していた中世初期の日常が、時計塔の登場とともに大きく変わっていったというのである。
(4)時計塔の登場は、都市と都市を行き交っていた商人たちの活躍と密接に関連している。近代社会を開拓していった商人たちは、未来の利益を予測しなければならなかったが、時計はこうした商人たちに、計算可能な時間を提供した。鐘の音で時間を知らせてくれたa「鐘の時間」すなわち中世の「循環的時間」ではなく、予測可能な未来を知らせてくれるb「時計の時間」すなわち近代商人たちの「直線的時間」が登場したのである。
(5)時計塔の登場以後、今の現代社会を支配しているのは、手帳などを利用して管理される「直線的時間」である。たいへん短く分けられた時間を、もう少し効率的に管理するために皆が気を配るが、そうすればそうするほど、時間はいつも足りなくなってばかりである。人間が時間を管理するのではなく、時間が人間を管理している感じだ。■48■ばかりを強調する直線的時間が、現代人たちの大事なたくさんのものを奪って行ってしまったのかもしれないのである。時には星が降る野原に立って星を数えたり、神話の世界にはまりこんで循環的時間に自身をゆだねてみるのはどうだろうか。

2018年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 全設問
第2問 A・B C D〜F
第3問 A B C
第4問 全設問
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第6問 本文全訳 여기! 問4・問5