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【センター韓国語】2019年度・第1問

 第1問

 第1問のAは、例年、発音の変化について問う問題が出題されている。とくに、特定の組み合わせの子音が並び合うことによって発音が変わる「子音の同化」と呼ばれる変化がねらわれやすい。例えば「濃音化」「激音化」「口蓋音化」などがそれである。「子音の同化」がねらわれやすいのは、子音の組み合わせの数が多く、変化のしかたも多岐にわたるためだ。
 「子音の同化」のルールについては、教科書や辞書の付録にある発音解説ページなどでの説明をよく読んで理解するのが基本である。しかしそれらの説明は厳密性・網羅性を重視しているので、ぱっと読んだだけでは理解できないかもしれない。そういう場合は、説明とともに例示されている語句を音読して、自分の口の部品の動きを確かめるとよい。唇は開いているかどうか、舌は口のどのあたりに接しているか、のどはどういう状態か、といったポイントを意識しながら音読すれば、何度か繰り返すうちに、「子音の同化」が起こるイメージを自分なりにつかむことができるはずである。そのイメージを応用すれば、「子音の同化」を問う問題の正答率はかなり上がるはずだ。
 また、漢字語(熟語)の中での音変化や、合成語・複合語、文の中での単語の連なりによる音変化にも注意が必要である。こちらは、変化のルールの数が限られているので、重要なルールを覚えて対応するのがよいだろう。

問1

【訳文】電鉄(=電車)の駅まで迎えにおいでになれないそうです。

 aは、「전철(電鉄)」と「역(駅)」という二つの漢字語がくっついた合成語である。この「역(駅)」のように、合成語の後ろ側の要素が[y]音で始まる場合は[n]挿入が起こることが多い。したがって、まず「전철(電鉄)」[n]「역(駅)」となる。その上で、「전철(電鉄)」は[l]で終わっているので、「流音化(舌側音化)」が起こり、[n]が[l]に変わる。最終的には「전철력(電鉄駅)」となる。
 bは、「〜できない」という意を表す副詞「못」の発音がカギとなる。「못」は、パッチム(終声子音)が「ㄷ」であると考えて、「子音の同化」を適用すればよい。すると、「ㄷ」の後には母音が続いているので、「못 오」の部分が[모도]となる。最終的には[모도신대요]となる。
 以上のabをともに満たす選択肢は①である。
■1■→①

問2

【訳文】本格的な梅雨の時期を迎え、厳格な衛生管理をしなければならない。

 a「본격적(本格的)」、b「엄격(厳格)」のいずれも、2字目以下に「격(格)」が含まれていることに注意しよう。「格」は、〈格式・品格〉を意味する熟語の2字目以下に用いられた場合、濃音化することが多い(例:인격人格・성격性格など)。ただし、〈位・程度〉などを意味する熟語の場合には、2字目以下に用いられてもふつう濃音化しない(例:가격価格・체격体格・자격資格など)。
 ここはabいずれも2字目の「격(格)」が濃音化し、[본껵][엄껵]となる。正解は②である。なお、「격(格)」の後の発音の変化にも注意しておこう。
 ちなみに「격(格)」のように、漢字語の中で2字目以下に用いられると濃音化する字の例としては、「권(権)」「권(券)」「법(法)」「자(字)」などがあるので、覚えておくとよい。
■2■→②

 混同しやすい綴りの書き分けを問う問題である。発音をカタカナ表記で暗記していると、母音の「ㅓ」と「ㅗ」や、「ㅜ」と「ㅡ」などを混同してしまいやすい。また、平音・激音・濃音の区別や、パッチム(終声子音)の違いなども間違えやすい。この書き分け問題では、これらのポイントが問われやすいので意識しておきたい。

問1

①インタビューが雑誌に載りました。
②ナクチポックム(タコの炒め物)を一つください。
③かけっこでビリになりました。
④傷口にかさぶたができました。

 ①は「잡지」、②は「낙지(볶음)」、③は「골찌」、④は「딱지」。③のみが異なっている。
■3■→③

問2

①戸を叩く音が聞こえました。
②経済発展が目立った一年でした。
③相手の自尊心(=プライド)を刺激してはいけません。
④時間があるので、急がないでください。

 ①は「두드리는(두드리다)」、②は「두드러진(두드러지다)」、③は「건드리면(건드리다)」、④は「서두르지(서두르다)」。④のみが異なっている。
■4■→④

 漢字の読みを問う問題である。日本語の音読みでは同じ読み方のように思える漢字でも、韓国語では読み方が異なっている場合は少なくない。漢字の読みの問題では、この種の漢字が集中的に出題される傾向にある。よく使われる熟語の中の漢字については、読み方を正確に覚えておきたい。読み方がわからない熟語が出題された場合でもあわてないで、下線部の漢字を含む別の熟語を思い浮かべてみると、解答の糸口が見つかることもあるはずだ。
 なお、すべての漢字についてあてはまるわけではないが、日本語の音読みの歴史的仮名遣いを知っていると、韓国語の漢字の読み方をある程度推測できることがある(とくに日本語の音読みで伸ばす音や「ん」を含む場合)。そこで以下の解説では、参考までに、歴史的仮名遣いによる日本語の音読みも示しておく。

問1

 aは歴史的仮名遣いで「しんちよう」、ハングルでは신중。bは歴史的仮名遣いで「しんじつ」、ハングルでは진실。cは歴史的仮名遣いで「ぢゆうちん」、ハングルでは중진。bとcが同じなので、正解は③。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。
■5■→③

問2

 aは歴史的仮名遣いで「くわつじ」、ハングルでは활자(なお、자は濃音で発音される。第1問Aの問1解説も参照)。bは歴史的仮名遣いで「ぶんかつ」、ハングルでは분할。cは歴史的仮名遣いで「ゑんくわつ」、ハングルでは원활。aとcが同じなので、正解は②。歴史的仮名遣いで「くわ」と「か」となる半母音の違いが、ハングルの「화」と「하」という母音の違いに対応しているようである。
■6■→②

問3

 aは歴史的仮名遣いで「はうらう」、ハングルでは방랑(なお、ㄹが[n]音に変化し、[방낭]のように発音される)。bは歴史的仮名遣いで「ほうねん」、ハングルでは풍년。cは歴史的仮名遣いで「はうよう」、ハングルでは포용。すべて異なっているので、正解は⑤。歴史的仮名遣いでは、bだけがほかと異なっており、少なくとも「すべてが同じ」ではないと判断する目安にはなる。
■7■→⑤

問4

 aは歴史的仮名遣いで「せんりやう」、ハングルでは점령(なお、ㄹが[n]音に変化し、[점녕]のように発音される)。bは歴史的仮名遣いで「せんしよく」、ハングルでは염색。cは歴史的仮名遣いで「せんだう」、ハングルでは선도。すべて異なっているので、正解は⑤。この問では、歴史的仮名遣いの知識はあまり関係していない。なお、bについては、日本語話者は読み方を間違えやすいので注意が必要である。「오염(汚染)」などの熟語もあわせて覚えておこう。
■8■→⑤

2019年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 여기!
第2問 A・B C D・E
第3問 A B C
第4問 全設問
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第6問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5