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【センター韓国語】2019年度・第3問A

第3問

 第3問のAは、短い対話文を読んで空欄に入る表現を選ぶ問題である。
 まず対話文では、口語表現が多用されている上に、親しく対等な関係で用いられるパンマルという文末表現が中心である。文末が主に-요で終わる丁寧な形だけでなく、パンマルの文体に慣れることが必須である。
 また、くだけた対話文ならではの間接的な表現(隠喩表現やあてこすりの表現など)、慣用句も多用され、それらが設問のカギになっていることが多い。対話の一文一文について、誰が誰に向けてどういう意図で話しているのかを意識することが重要である。

問1

A:きみ(=おい、お前)、顔がどうしたんだ?(=どうしてそんな顔をしているんだ?) もしかして、暑さ負けでもしたのかい?
B:いや、■29■。
A:なんでそうなんだ?(=何があったんだ?) (心の中が)すっきりするように打ち明けてみろよ。

①数日前からちょっと引っかかることがあるから
②海辺に行ってきたんだけど日焼けしすぎちゃった
③休みにどこに行こうか悩んでいるところだ
④このごろ冷たいものをたくさん食べておなかを壊したみたい

 空欄には、Bの「顔」の様子に異変が生じている理由が当てはまる。また、空欄の後でAが「打ち明けてみろ」と促していることから、Bには打ち明けていない事情、心の中に抱えている事情があることがわかる。正解は①。
 ②は、心の中に抱えている事情とは言えないので不適切。③も「悩んでいる」とはいうものの、心の中に抱えているとまでは言えないので不適切。④もやはり心の中に抱えている事情ではないので不適切。
■29■→①

問2

A:なぜ黙っていたんだ? ひとこと言わなきゃ。
B:■30■
A:そういえばそうだな。(どんなにしっかり言い聞かせても効き目がなくて)口ばっかりが痛い(=教えがいがない)だろうに。

①ぼくも今までたくさん我慢してきたんだ。
②だからさっき口をきいたじゃないか。
③あいつは話をしたって聞くやつじゃないじゃないか。
④正しいことだけ言ったんだけど(=間違ったことは言ってないよ)。

 空欄には、Bが黙っていた理由が当てはまる。また、空欄の後でAがBに同意した上で「口ばっかりが痛い」とコメントしていることから、Bは「口ばっかりが痛い」状態を避けるために黙っていたのだとわかる。「口ばっかりが痛い」という慣用句を知っていれば即答できるが、そうでない場合も、上記の日本語訳のように文脈を補って意味を想像して答えよう。正解は③。
 ①は、我慢しきれなかった人物が言う言葉であり、我慢して黙っていたBの言葉としては不適切。②・④も、黙っていた理由を述べていないので不適切。
■30■→③

問3

A:これ、どうしてこうならないんだ?
B:このボタンを5秒ぐらい押していなきゃいけない。
A:ぼくが、まったく(=まったく、ぼくとしたことが)。■31■ 無駄にいらない苦労ばっかりしたね(=無駄な苦労ばっかりしちゃった)。

①ぼくもそうしたんだけど。
②そうだと思ったってば。
③ぼくも知ってたんだけど。
④そうだとも知らないで(=そんなことだとは思わなかった)。

 空欄は、Aの言葉の真ん中にある。したがって、空欄の前の言葉、空欄の後の言葉につながるように答えを考えなければならない。
 手がかりを見つけやすいのは、空欄の後の言葉である。괜히は공연히(=むなしく)の縮約された形で、会話文では、〈〜しなければよかった〉という後悔の念を表す文脈でよく用いられる。また헛고생は、고생(=苦労)に接頭辞の헛が付いた形である。헛は허(虚)にㅅが付いたもので、〈無意味な・無駄な〉という意味合いを添える。したがって、空欄の後の一文は〈無駄にいらない苦労ばかりしたね〉といった意味になる。〈いらない苦労〉とは、Bが示してくれた正しい操作方法を知らないでいろいろと操作を試して失敗したことを指すと考えられる。そして、操作の失敗を繰り返したことを後悔する気持ちが、空欄の前の〈ぼくが、まったく〉という言葉にも表現されているのである。
 以上をふまえると、空欄には、正しい操作を知らなかったことを後悔する文脈に当てはまるものが入るとわかる。正解は④。①②③は、いずれもAが正しい操作方法を知っていた、または正しい操作方法を試したという意味を示しており、不適切である。
■31■→④

問4

A:おい、(そんなに携帯電話ばかり見つめてたら)携帯電話に穴があきそうだ。
B:人がムンチャ(=ショートメール)を送ったら、返事をちゃんと送らなきゃいけないんじゃないか?(なのに返事が来ないんだ)
A:■32■
B:そうか? じゃあちょっと待ってみようか?

①ごめん、あまりにも忙しくてそうだった(=あんまり忙しかったから)。
②おまえ、ショートメールを間違えて送ったんじゃないか(=送り先を間違えたんじゃないか)?
③事情があるからそうなんだろう、無意味にそうなるだろうか(=事情があるからだろう、何もないのにそうはならないだろう)?
④ショートメールを送るやいなや、返事をする人もいることはいるだろうに(=すぐに返事をする人も中にはいるだろうに)。

 まずキーワードを確認しておこう。휴대폰(=携帯フォン、つまり携帯電話)は知っている人も多いだろう。それと関連して、문자という単語も知っておこう。これは韓国の携帯電話サービスで多用されるショートメール・ショートメッセージの名称である。「文字」と表記する漢字語であると思われるが、漢字語の2字目以降に用いられる「字」は、濃音で発音されることが多い(第1問Aの問1解説も参照)。この単語も、[문짜]のように発音される。
 さて、この問の会話では、最初のAの言葉が冗談めかした表現で、少し解釈が難しい。いったんここを飛ばし、Bの言葉だけを見てみよう。空欄の前にあるBの言葉は、〈人が……〉というように、人間一般の話をしているように見せかけながら、誰かのふるまいを批判している。つまり、〈ムンチャ(ショートメール)を送ってもらったら、返事をすぐに送らなければならない〉というのが一般的なしきたり・礼儀作法であると説くことで、〈返事をすぐに送らない〉人のことを批判しているのである。ただし、空欄の前にあるB言葉だけでは、〈返事をすぐに送らない〉人が誰であるのか(Aであるのか、A以外の人物を指しているのか)は不明である。
 そこで空欄の後のBの言葉を見ると、直前のAの言葉を聞いた上で、〈じゃあちょっと(ショートメールの返事を)待ってみようか〉と言っている。このことから、Aは返事をもう少し待つべきだとBに助言したのだと考えられる。
 また、Bの言葉の〈待ってみようか〉という表現は、〈試しに待ってみる〉という意図を持った発言であり、対象となる人物(=返事をすぐに送らない人)がその場にいない状態で、その人物への配慮を示そうとしていることがわかる。つまり、〈返事をすぐに送らない〉人は、A以外の誰かであるということがわかるのである。
 以上から、空欄のAの言葉は、(1)〈ショートメールの返事を待つべきだ〉という趣旨の発言であり、(2)その返事を書くべき人はA自身ではない、という2つのポイントを満たすものでなければならない。
 選択肢を検討すると、2つのポイントを満たすのは③であり、これが正解。
 ①は、A自身が返事を書くべきであることになり、(2)を満たさないので不適切。
 ②は、〈ショートメールをもう一度正しく送り直すべきだ〉という趣旨の発言であり、(1)を満たさないので不適切。
 ④は、〈ショートメールの返事が遅いというBの考えに同感だ〉という趣旨の発言であり、やはり(1)を満たさないので不適切。
■32■→③

2019年度の問題・解説へのリンク

問題PDF 朝日新聞 センター公式
解答PDF 朝日新聞 センター公式
第1問 全設問
第2問 A・B C D・E
第3問 여기! B C
第4問 全設問
第5問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5
第6問 本文全訳 問1〜問3 問4・問5